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緒方孝市著「赤の継承」を読んでみました。(中編)

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広島カープ
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こんにちは。昨日からの続きになります。

今回は緒方さんが監督になってから25年振りの優勝までのお話をまとめてみたいと思います。

成績が振るわなかった1年目

緒方さんが監督に就任した年、黒田選手と新井選手のカープ復帰が決まりました。

この時期のカープは若いチームで、菊池・丸選手を筆頭に各選手は力はつけていましたが、まだまだ主力選手と呼べる存在ではなく落ち着きもなく経験もありませんでした。そんな中、投手陣・野手陣それぞれに百戦錬磨のベテランが加わったのです。緒方さんにとって24年振りの優勝のための最後のピースが揃った感じがしたそうです。

この事によりテレビや雑誌でカープは優勝候補の筆頭になったのです。それもそのはずで、前田健太投手はメジャーリーグに行かずカープに残留し、大瀬良投手は前の年に新人王を取り、これで現在のエースと将来のエースにかつてのエースが加わり、野手はキク・マル二人の成長に、経験豊富な新井が加わったわけですからね。

緒方さんは就任して最初に「勝つ、何が何でも勝つ。」と選手に伝えたそうですが、このメッセージは失敗の本質をもっとも象徴的に表していたそうです。このような抽象的な表現では緒方さんの考えが伝わらず、実際に選手達は何をしてよいのかわからなかったようです。

この年は最初は大型連敗を喫しどうなるかと思っていましたが、5月以降は5分の成績で戦えるようになっていました。

そしてこの年の最終戦。勝てば3位でCS進出、負ければ4位で終了という試合でした。

先発は前田健太投手。この試合はこの年のカープを象徴するように打線は沈黙し、マエケンは7回まで0点に抑える粘投を見せるも、中4日という疲れからか本調子ではなかったようです。8回に大瀬良投手にスイッチしましたが、その後被弾して3点を失いそのまま敗戦となってしまいました。

この試合が緒方さんの野球人生の中で最も重要な試合になったそうです。

実はこの試合の裏側ではさまざまなドラマが錯綜していたようです。本来はマエケンは6回で交代し、7~8回はジョンソンに行ってもらおうと準備をしていたそうです。しかしマエケンが「もう1回僕に投げさせて下さい。」と緒方さんに直訴してきました。マエケンはエースとしてこの年は文句のない活躍をしてくれていましたし、普段は言わない「もう1回投げさせて欲しい。」という要望に緒方さんは退けることが出来ずに、そのままバッターボックスに向かわせたそうです。

ただし、そのことでジョンソンを7~8回に投げさせることが出来なくなりました。ジョンソンは前回の登板から中3日という状況で、「肩を作ったらすぐ投げさせてくれ。2回3回と肩を作ることは出来ない。」と言われており、1回休んだら肩が冷えるのでもう登板は出来ないという約束をしていたそうです。

その結果7~8回はジョンソンで行くという案が崩れ、9回は中崎投手で行くとして、延長になれば黒田投手に託すとなれば後は大瀬良投手しかいなかったそうです。

本来この日は大瀬良投手を登板させる予定はありませんでした。この年は途中から中継ぎに回り、それでなくても登板過多になっていましたし、人差し指に血行障害が生じて満足にボールを握ることが出来なくなっていました。大瀬良投手がブルペンにいたのは最後の最後の選択肢として置いていたそうですが、結局大瀬良投手に頼らざるを得なくなりました。

「大瀬良投手が流したあの涙は、私が流させたようなものだった。」と緒方さんは語っています。あの瞬間迷いが生じ、監督としての決断力のなさが起因だったと反省されていました。

あの大瀬良投手の涙の裏側には、当事者にしかわからない事情があったんですね。

25年ぶりの優勝

緒方さんにとって失敗だらけの2015年は、チームに何が足りないのかを教えてくれる年だったそうです。それをどのようにして改善していくか・・・

勝てるチームを作るための答え、それは自分の経験の中にある。監督1年目の時にはそれに気が付けなかったが、自分の経験こそが全てで、それを思い出して実践すればいいだけなんだと緒方さんは導き出しました。

実際に何をしたかと、「結果よりプロセスに集中する」ことです。そのために選手はもちろん、コーチやトレーナーやスコアラーまで個々の役割を徹底させたそうです。

例えば先発投手で言うと、先発投手の役割はゲームを作る事。もっと具体的に言えば6~7回までを3失点に抑える事なんだそうです。10勝したいとか15勝したいとかは目標であって役割ではないというのが緒方さんの考えです。

選手に役割を明確にすることで、その為にはコーチはどう指導すればいいのか、トレーナーはどうケアをすればいいのかも明確になってきたそうです。

2016年監督2年目のこの年は、流行語になった「神ってる」鈴木誠也選手の台頭や「タナ・キク・マル」の誕生もあって遂に25年ぶりに優勝することが出来ました。黒田選手と新井選手の抱き合って涙するシーンは本当に感動的でした。

緒方さんはこれまで「優勝したい」一心で戦ってきました。しかしその優勝を手に入れ、祝賀として行われたパレードの最中に気が付いたそうです。優勝のその先こそ真にみたい景色があったと。それはファンに喜んでもらえる事だそうです。「この景色を来年ももう一度見たい」この思いから次の年、二連覇へ進むことになります。

ここまでの私の感想

私がこの本を読んで一番驚いたのは、やっぱり2015年の最終戦。中日戦の敗戦での出来事でした。あの時は本当に悔しくて、情けない思いをしました。

優勝はもう無理な状態でしたが、「せめてCS進出はして欲しい」というのがカープファンの本音だったと思います。この試合にこんなドラマがあったとは知りませんでしたが、プロ野球選手・監督とはいえ生身の人間ですからいろんな感情が入ってしまいますよね。

しかしこの敗戦は確実にカープを強くした原動力となったと思います。

この本を読んで思い出したのが、優勝した年辺りから選手のインタビューに「チームのために」という言葉が多用されていたと思います。

きっと緒方さんの考えが皆に伝わって、自分の役割が浸透してきてたのかもしれないですね。

私は大まかなあらすじを書き出していますが、個々の選手達のことや、「結果よりプロセスに集中」という考えの原点となった真言宗天王山・命教寺の植田住職の教えなど、本では詳しく書かれています。

では今日はこの辺で。 最後まで読んでいただきありがとうございます。また次回で・・・

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